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当事者の自由な発言を封じることが最大のバリア
リカバリーとアンチスティグマ活動にとって、最も重要なバリアは、当事者の自由な発言を封じることです。これは、単なる倫理的な問題ではなく、リカバリーのプロセスそのものを根底から崩壊させる行為です。
3.1 組織内の圧力と「嘘をつくこと」の最悪な経験
当事者サービス提供者(ピアスタッフ)が現れてきた一方で、所属組織の管理下に置かれたために、彼らの自由な発言が制限される問題が深刻化しています。
ピアサポーターやピアスタッフと名乗る当事者サービス提供者の一部が、所属組織を辞職し、フリーランスとして働くことを宣言しています。
その最大の理由として、「この組織にいると自由な発言ができない」ことが挙げられています。
リカバリーの最中にいる当事者にとって、所属組織に圧力をかけられ、そのために自由な言動や、語りを封じられ、発言の内容を自分の意図ではなく、所属組織に合わせ、嘘をつくこととなるのは、当事者として最悪の経験であり、人生においてしてはいけないことです。
リカバリー志向でない組織では、リカバリーの最中にいる当事者の発言が、同僚や雇用主からの忖度によって口を封じられてしまい、各地域の当事者によるアンチスティグマの継続的で地味な努力が終止符を打たれます。
当事者の内発的な語りの欲求について、本人と周囲が承認することが、リカバリーとアンチスティグマにとって最大の貢献であり、逆に当事者の口を封じることこそが、最大のバリアなのです。
3.2 「邪魔をしないこと」の哲学
リカバリーは、当事者が自ら感じ取り、自らストーリーを語り始めるときに覚醒するものです。
リカバリーの過程にいる当事者は、自らの価値を大切にし、主観的なリカバリーの価値を、もっとも大切にするため、そこに他者の入り込む余地はありません。
専門職がリカバリーの過程にいる当事者に伴走することは不可能ではありませんが、そのときに最も大切なことは本人の邪魔をしないことです。
この「邪魔をすることの象徴」が、当事者を管理すること、そして、人生の責任まで専門職が引き受けてしまうことです。
例えば、長期入院の環境下では、当事者は自ら決めることや責任を取ることをやめさせられ、語るべきストーリーを語り始めることもなく、ずっと管理をされてあたりまえという景色を見せられながら、自分から動くことをやめてしまっている状態に置かれます。
管理からリカバリーは生まれないし、管理することで、主観的な価値を奪う行為に気が付かない専門職が多いのです。
そのうえで、当事者の自由な発言を封じることとは、リカバリーの核心である自己決定と責任の再獲得を、最も管理的な形で否定することにほかならないのです。
3.3 地方講演での戦略的撤退と権利の底上げ
当事者が自らの権利と発言の場を確保するために、筆者は、地方の講演や学術集会で、あえて戦略的な撤退を表明してきました。
筆者は、地方に講演で呼ばれると、必ず「もうはるばるここには来ません、次からは地元の当事者を使ってください」と言ってきました。
これは、目につく、目立つ当事者ばかりが使われる現状では、いつまでたっても新しい世代が育たないという問題意識からです。
その結果、本当に地方から呼ばれなくなり、地元の当事者の方が呼ばれるようになったという成果が出ています。
筆者の思う、「仕事」とは、その地域にはその地域の当事者が必ずいるはずなので、「もうここには来ません」と言って帰ることだと思っていた時期がありました。
これは、当事者の権利の底上げと、全国各地の当事者の発言の場の確保という、当事者主体の社会運動としてとらえることができます。
さらに、メンタルヘルス業界の中で、当事者に対する敬意として、謝礼金、賃金の底上げのために、「私の講演は一回10万からです」などとあえて嘘ぶくことで、他の当事者の人たちのお金が上がらないかと思っていたこともあります。
これも、当事者の経済的な価値と社会的地位を向上させ、自由な活動を支えるための、一つの戦略だったと言えるでしょう。
当事者の「語り」は、単なる情報の共有ではなく、主体性を取り戻すための闘争そのものであり、その声を封じようとする試みこそが、精神保健システムが乗り越えるべき最大の構造的課題なのです。
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