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スティグマの解剖:病気の苦しみを超える構造的抑圧
精神障害を持つ当事者が直面する苦痛は二重構造を成しています。一つは病気そのものの苦しみであり、もう一つはスティグマ(偏見や差別)による苦しみです。当事者の声は、多くの場合、スティグマによる苦しみのほうが大きいと訴えます。スティグマとは、「あなた」をよく知らないうちに、何かを前提にしてしまう態度または信念であり、人から力を奪い、良い関係を作ることを引き下げてしまうものです。
当事者が直面するスティグマは、外部、内部、そしてシステム内部に存在する三重構造として認識されています。
1. 外なるスティグマ: メディアや世論といった社会全体からの偏見や差別です。
2. 内なるスティグマ(セルフスティグマ): 外部の偏見を内面化し、「人から拒否されるのではないか」という恐怖を抱くことです。当事者は、かつて病気になる前に抱いていた偏見(「一般の人は偏見に満ちている」という偏見)を自らが持っていたこと、そして専門家や家族、病気になる前の自分もそれぞれが、偏見に満ちていること認めていることの継続です。
3. 精神保健システムの中のスティグマ(中なるスティグマ): 精神保健システムの専門家や関係者、さらには当事者同士の間で生じるスティグマ的行為です。
例えば、当事者同士で「私はうつ病、あなたはアルコール中毒、私のほうがよい」といった意味のない優劣の態度を持つことや、専門職によるデパワー的な見方が私たち当事者に乗り移ることなどがこれにあたります。
この中なるスティグマは、当事者がシステム内部の「中の人」からの言葉や仕草、信号を一生懸命に受け取り、咀嚼し、栄養を付けた結果、「おかしな物の見方」として身となり血となって完成したものだと分析されます。
2. 「語り」の絶対的価値とアンチスティグマの戦略
スティグマを解消し、真のリカバリーを実現するための鍵は、当事者自身の経験と「語り」車の両輪です。リカバリーの過程にいる当事者が増え、その生きる姿勢やストーリーを見せることで、世の中からスティグマは減っていくと考えられています。
経験はエビデンスである
私たち精神障害者は、全世界で見渡しても共通して「語るべきストーリーがある」という特質を持っています。このストーリーは、何ごとにも代えがたい、価値あるものであり、他人には評価できない過程なのです。
アンチスティグマ活動において、人前で何を話せば最も力があるのかという問いに対し、米国の当事者カーメン・リーは「あなたのことよ!」と一言で答えました。つまり、当事者の経験の語りこそが、エビデンスであると主張することは、当事者だけに許されることなのです。
当事者が「私たちは建設的な人間だ」というメッセージをわかってもらうためには、自らのストーリーを誠実に話すことが最も力を持つのです。
スティグマ解消の三原則と直接接触体験
スティグマをなくすための具体的な戦略として、プロテスト、教育、そして実際に会うこと(当事者との直接接触体験)の三原則が挙げられます。
当事者が自ら教育の場に赴き、経験を話すことは理想ではありますが、話し手としての当事者本人にはかなりの負担がかかります。
それでも当事者が教育に参画することで、目の前の学生や生徒のものの見方が根底から変わる可能性があります。これは、教諭や管理者などの大人たちも直接接触することで、大人から子どもへのスティグマの継承を防ぐという目的も持っています。
また、当事者が実際に薬(いわゆる一般の見方でいう精神安定剤)を人前で飲むという行為は、自分が正しい知識と治療を受けている精神障害者であり、危険ではないということを証明するための「小道具」として抜群に効果があったのです。
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