#アンチスティグマ 活動の妨害と「 #トークニズム の罠」

 アンチスティグマ活動の妨害と「トークニズムの罠」

ある当事者が自ら発言し、社会的な変革を促そうとする際、その力を削ぎ落とすメカニズムが、特に専門職や行政、そしてシステムの中で働く他の当事者(当事者サービス提供者)自身を介して働きます。


5.1 リカバリーを封じる最大のバリア

アンチスティグマとリカバリーの最大のバリアは、リカバリーの最中にいる当事者の口を封じること、すなわち自由な言動や語りを封じられることです。


ピアスタッフ(当事者サービス提供者)の一部が、所属している組織を辞職し、フリーランスとして働くことを宣言した最大の理由も、「この組織にいると自由な発言ができない」というものでした。


織に圧力をかけられ、発言内容を自分の意図ではなく所属組織に合わせ、嘘をつくことは、当事者として最悪の経験であり、人生においてしてはいけないことであるとされています。


リカバリー志向でない組織では、リカバリーの最中にいる当事者の発言が、同僚や雇用主の立場からの忖度によって口を封じられることで、各地域の当事者によるアンチスティグマの継続的で地味な努力はいったん終止符を打たれます。


5.2 トークニズムの罠と「ショーケースに入った当事者」

当事者参画が広く行き渡るにつれ、行政の委員会や学会など、いろいろな場に、言い訳として当事者の椅子が一つだけ用意される慣習が生まれました。


これを海外の当事者の仲間は一言で「トークニズム!」と言い放ちました。


トークニズム(Tokenism)とは、形式的かつ機械的な当事者参画であり、当事者はゲームセンターのコイン(トークン)と同じような価値でしか扱われないことを意味します。


これは、「あなたは発言してもいいです、でも意見は聞きいれません」という態度を示すもので、この罠にはまった当事者は「ショーケースに入った当事者」と呼ばれ、屈辱的な思いをします。


筆者は、自ら「トークニズムの罠に足を突っ込んでみた」経験があります。


悲観、絶望、無力、恐怖を感じながらも、次に続くほかの当事者が発言をするときの準備となるよう、あえて「ショーケースに入った当事者」という自覚を持ちつつ、参加し続けてきたのです。


学術集会における当事者の扱いの具体例として、シンポジウムで、「ばーっと専門家たちの発表があって、一通り終わったあと、『では、当事者の方はどういう感想を持ちましたか?』という立場で参加することが多い」事例に対して、「なんで最後なんだろうか」という疑問を常に持ち続けています


5.3 国際会議における差別と抵抗

スティグマによる排除は、国際的な場でも明らかです。2003年のWFMHメルボルン大会では、当事者ミーティングにおいて、議題が「今回の大会での理事会で当事者提案の時間がなくなったこと」に集中しました。


当事者たちは、WFMHが当事者とコミュニケーションする気がなくなってしまったらしいと感じ、製薬会社は当事者の野蛮なところを嫌って、WFMHの役員たちに圧力がかけられたのだろうとミーティングである当事者が言っていました。


2007年のWFMH香港大会の閉会式では、当事者声明が発表されることになりましたが、警備上の理由ということで、壇上にあがることを拒否された当事者たちは、声明文をフロアから発表させられました。


これは、「私たち当事者を尊重しないアジアの嫌な面が出た結果」であり、当事者たちが憤慨する出来事でした。


また、当事者ミーティングでは、参加費用を所属団体から出してもらっている当事者が、「当事者として前に出ると問題が発生するかもしれない」という団体の都合を理由に、決議案を読み上げることをためらうなど、アジアにおける保守的な構造が浮き彫りになりました。


【最後までお読みいただきありがとうございます。

もしよければ、アンケートにお答えいただけますと幸いです。】

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コメント

  1. トークニズムでまっとうに取り合ってくれなかったとのこと。私は当事者を交えたイベント会議で他の専門職の方々と会議に参加させてもらってました。6年くらい在籍していた当事者ですが、1人でも参加できることは素晴らしいことです。要はアイデアを提示できるか、説明できるか、また自分の意見を時によっては取り下げることができるかが会議のマナーとして必要と思います。月1回の会議でしたが、その場に慣れるのに2~3年かかると思います。当事者であっても理路整然と説明できるアイデアと技術とマナーを持てば、取り上げてくれます。だから民主的な会議であるならば当事者は深く考えて、協力を求めている発言をすれば取り上げてくれます。私の提案のために30分会議時間をオーバーしてくれました。また良いイベントの結果を得ました。支配的に運営するボスがいたので、圧力をかけられると自由な意見が出せないと訴えて、また他の事情もあり辞めてもらい、意見が言いやすくなりました。当事者もよく考えられたアイデアを提示できれば、平明な言葉で意見を述べられ、あと説明もよく考えておき、全体の賛同を得られると思います。民主的な会議であれば1人参加の意見をないがしろにしてはいけないと思います。また1人の機転で会議は良いものになることを実感しました。ただ自分の意見を説明する時間的余裕がない時は、むやみに引っ張るのでなく、意見を取り下げる勇気も必要だと思います。福祉と医療系の働き手が同じ方向に向かうことが必要でそのための会議の工夫が必要と思います。

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    1. ご意見をいただきありがとうございます。
      たけやんさんの貴重な体験をシェアしていただけてうれしいです。
      今後、たけやんさんのご意見も参考にしつつ、良質なコンテンツを提供できればと思います。
      ありがとうございました。

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