#アンチスティグマ から考える #リカバリー

 アンチスティグマから考えるリカバリー

1. 経験の価値:「語るべきストーリー」の力(カーメン・リーの教え)


1.1 当事者の経験は「エビデンス」である

私たち精神障害者がリカバリーの道を歩む上で、最も普遍的で力強い武器となるのが、自らの「語るべきストーリー」です。


この「ストーリー」とは、「自分のことを振り返ってみて、ここか、この出来事か、と印象に残ること」であり、自分だけの大切な物語です。


リカバリーという言葉は、この自らの「語るべきストーリー」全体を合わせたものであり、私たちの経験は、何ごとにも代えられない、何ごととも比べようのない、価値あるストーリーなのです。


専門家が自らの主張の正当性を証明するために、データや統計といった客観的なエビデンスに頼る一方で、私たち当事者のコミュニティでは、「当事者の経験の語りが、エビデンスである」と主張することは、当事者だけに許されることなのです。


1.2 カーメン・リーの教え:「あなたのことよ!」

当事者が人前で偏見を解消するための活動(アンチスティグマ活動)を行う際、具体的に何を話すべきかという問いは、常に私たちの中にあります。


2007年の世界精神保健連盟(WFMH)香港大会に参加した際、私は壇上で講演していたカーメン・リー(当時、アンチスティグマのための活動を数十年、延べ1,250回以上 行ってきた当事者)に対し、会場から質問をしました。


私は「日本でもスティグマのワークショップをしたいのですが、当事者は何を話せばいいのですか。スティグマを受けた経験を話すのですか。リカバリーの経験を話すのですか。当事者はどんな内容を話せばいいのですか」と尋ねました。


彼女の返事は、非常に簡潔で力強い一言でした。

「あなたのことよ!」。


ただ自分のことを話しなさい。


経験したストーリーを誠実に、ストーリーそのものを話すことが最も力があるのです。


当事者が自分の主観を大切にして、自分でわかる言葉を使って話せば良いと教わりました。


カーメン・リーらのピアサポートグループが、小学校から大学、地域のサークルなど、ありとあらゆる所で講演を続けた目的は、「私達は建設的な人間だ」というメッセージをわかってもらうための話をするためでした。


彼女らは、当事者が話をすることが、スティグマを減らしていくのに一番力があると確信していました。


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