投稿

#リカバリー #こころの病の回復の道 #ピアサポート の #制度化 の #歴史 : #アメリカ からの #翻訳 と #専門職 による #初期設計

制度化の歴史:アメリカからの翻訳と専門職による初期設計 1.1 ピアサポートへの注目の高まりと国際的な影響 ピアサポート(当事者同士の支え合い)は、2009年頃から筆者による日本国内で講演が増えるなど注目を集め始め、特に2011年くらいから議論が活発化しました。 この時期、筆者はWFMH(世界精神保健連盟)南アフリカ大会(ケープタウン)や過去の1999年WFMHチリ大会(サンチアゴ)など、海外でのリカバリーやピアサポートに関する会議に積極的に参加し、国際的な動向を日本に伝えていました。 1.2 iNAPSのピアスペシャリストガイドライン翻訳の試み この国際的な動きと連動し、ピアサポートの専門職化、あるいは制度化への動きが具体化しました。 当時、筆者の所属するグループで、アメリカのピアサポートスペシャリストガイドライン第4版を翻訳しようという話が持ち上がりました。 筆者は、このガイドラインの第4版を1年かけて翻訳しました。しかし、翻訳作業の過程には、制度化を急ぐ専門職側の都合が見え隠れしました。 第1版と第2版の日本語版が出た際、400ページくらいある原版の内容を、薄い40ページくらいの冊子にまとめてほしいと依頼されましたが、筆者は「とてもとても400ページくらいのものを40ページくらいにまとめるのはダメだ」と感じていました。 その後、第3版の翻訳に着手した際、筆者が体調を崩していた時期だったこともあり、当時は機械翻訳もない中、粗い翻訳を依頼した翻訳家による専門用語のない粗訳を、グループの一員の専門職が百何十ページくらいにまとめるという作業が行われました。 1.3 ピアサポート専門員制度の初期設計と「ピア機構」の設立 この翻訳作業を元に、「ピアサポート専門員」という名称が検討され、制度の枠組みが設計されました。 「ピアサポート専門員」という名前や制度の設計には、専門職側の基準が強く影響しました。 2013年2月か3月頃のミーティングにおいて、専門職が参加し、「相談支援専門員」の研修時間(2日間で7〜8時間くらい)を参考に、ピアサポート専門員は10時間くらいの2日間の研修を受ければ、ピアサポート専門員になれるようにしようと決定されました。 これは専門職の人が考えた設計でした。 その後、筆者は、このピアサポート専門員制度を推進する団体として 一般社団法人  日本メンタルヘ...

#リカバリー #こころの病の回復の道 #地元 の #当事者 を使うべきという #主張 と、その #結果

地方講演での提言:地元の当事者を使うべきという主張と、その結果 リカバリーを社会全体に広げ、当事者参画を文化として定着させるためには、一握りの目立つ当事者だけでなく、全国各地の当事者が発言する機会を確保することが重要であるという戦略的な提言が、筆者は行ってきました。 筆者は30年ほど前から、地方の家族会、行政、マスコミなどから日本各地に呼ばれ、人前で話をしてきました。 その場で質疑応答の最後の時間に、筆者は必ず次のように返答してきました。 「私はもうここには来ません、次からは地元の当事者を使ってください」。 この提言の背景には、「いつまでたっても新しい世代が育たない」という問題意識があります。 当事者の中から、使いやすい目立つ人ばかり使われるのでは、当事者参画の文化が根付きません。 筆者は、その地域にはその地域の当事者が必ずいるはずなので、「もうここには来ません」と言って帰るのが「僕の仕事」だと思っていた時期がありました。 筆者は、自らをロールモデルではなく、「おそらく、道を拓いてはいなくなり、後から入った人がきちんと仕事する」ような役割だと考えています。 筆者ではない、他の当事者にはしゃべる素養も前に出る素養もあるが、ただ出てこなかっただけであり、全国には無数の当事者がいるのに、それに気づかない専門家が多いと感じていたのです。 この提言は、当事者の権利の底上げを狙った活動の一つであり、地元の当事者こそがその地域の財産であり、壇上で発表する方として、最もふさわしい方であるという信念に基づいています。 3.2 提言の結果と当事者参画の実現 筆者が地方講演でこの主張を続けた結果、本当に地方から呼ばれなくなり、地元の当事者の方が呼ばれるようになったという成果が得られました。 この変化は、当事者の時代が徐々に実現しつつあることの証左です。 30年前には、当事者活動は学術集会では完全に無視されるか、「当事者ごときが何を言う」と攻撃されることばかりでしたが、現在では、各地で多くの当事者の方が発言するようになっています。 当事者参画が文化として成立し始めたとはいえ、依然として課題は残ります。学会のシンポジウムでは、専門家の発表が一通り終わった後に「じゃあ当事者の方はどういう感想を持ちましたか?」という立場で参加することが多く、当事者は「なぜ最後に一言だけなのだろうか」という疑問を...

#リカバリー #こころの病の回復の道 #国際的 な #ピアサポート の #規範 との #共通性

国際的なピアサポートの規範との共通性 リカバリー全国フォーラムでの水平性の追求は、国際的なピアサポートの現場からも示唆を得ています。 例えば、ロサンゼルス精神保健協会のビレッジISA(2007年当時)では、メンバーとスタッフの関係は、互いの尊敬と平等の精神の上に成り立っています。 ここでは「助ける者と助けられる者」といった上下の関係ではなく、メンバーは平等なパートナーとしてサービスを受けます。 職員は治療者・セラピストというよりむしろ「コーチ」であり、メンバーが新しいアパートに引っ越したり、新しい仕事に就いたりする際の決定をするときに傍にいて見守りながらサポートするのです。 この関係性では、就労に関しても、仕事上のスーパーバイザーとメンバーの関係は、精神保健のスペシャリストと障害者の関係ではないと、定義されています。 当事者の決定と責任を尊重し、管理をしないという姿勢が、水平な関係性の基盤となります。 2.2 ピアスタッフ雇用における水平性の維持の困難 一方で、ピアサポートを組織的に導入する際、この水平な関係性を維持することが難しくなるという問題がかなり以前から、当事者から指摘されています。 ピアスタッフが、所属組織を辞職しフリーランスとして働く最大の理由の一つが、「組織に所属していると、自由に物が言えない」ことでした。 所属する事業所の方針や、外部への忖度によって、当事者の自由な発言・発信の口が閉ざされてしまうのです。 リカバリーの最中にいる当事者にとって、発言の内容を自分の意図ではなく、所属組織に合わせ、嘘をつくこととなるのは、当事者として最悪の経験であり、人生においてしてはいけないことだと認識されます。 当事者の自由な発言を封じることこそが、リカバリーとアンチスティグマの最大のバリアであるため、リカバリー全国フォーラムがヒエラルキーを意図的に排除し続けることは、当事者の主体性を守るための極めて重要な戦略なのです。 【最後までお読みいただきありがとうございます。 もしよければ、アンケートにお答えいただけますと幸いです。】 https://forms.gle/zG75PkzCJJi6ns529

#リカバリー #こころの病の回復の道 実践例: #保護室 #病棟 での「 #寄せ書き ごっこ」に見る、#当事者 発の #ピアサポート の創出

実践例:保護室病棟での「寄せ書きごっこ」に見る、当事者発のピアサポートの創出 ピアサポートがその真価を発揮するのは、最も当事者の主体性が奪われ、管理が徹底されるはずの場所、すなわち精神科病院の保護室病棟での事例においてです。 3.1 強制入院と「もののやりとり全面禁止」の壁 2008年夏から秋にかけて、筆者は医療保護入院で強制入院しました。 その病棟は保護室病棟と呼ばれ、入院患者同士の「もののやりとりは全面禁止」というローカルルールがありました。 この環境下では、励ましの手紙すら見せることも、あげることも禁止されていました。 しかし、この厳格な管理体制こそが、当事者によるピアサポートの創意工夫を引き出すきっかけとなりました。 3.2 拘束下での「寄せ書きごっこ」ピアサポートの創出 拘束される前に、筆者は喫煙所に1日2回ほど出られる時間を利用し、ピアサポートの活動を始めました。 鉛筆と白い紙の束をデイルームの机の上に置き、「〇〇さんへ」と真ん中に丸で囲み、寄せ書きを行ったのです。 この寄せ書きには、さまざまなメッセージが寄せられ、本人に渡す際は表彰状のようになり、多くの人が参加しました。 私が保護室に閉じ込められ、両手首、両足首、胴体の5点拘束をされていた間も、この形でデイルームでのピアサポートは続きました。 この活動が規制を免れたのには、巧妙な理由がありました。 それは、「誰から、誰へのもののやりとり」ではなく、「全員から一人へのメッセージ」という形式を取ったためです。 この前例のない当事者発の行為に対し、どの医療関係者も取り締まることができなかったのです。 3.3 「私は拘束されていてもリカバリーの過程にいる当事者でした」 この拘束中の経験こそが、筆者にとってリカバリーの力がどこにあるかを悟らせる決定的な体験となりました。 2011年の東日本大震災後のリカバリー全国フォーラムでの連続基調講演で、筆者は涙を流しながら、この経験を叫びました。 「私は拘束されていても、リカバリーの過程にいる当事者でした。」 保護室という最も管理された環境、5点拘束という最も主体性を奪われた状況であっても、ピアサポートが続く限り、リカバリーの過程は進んでいたのです。 病棟にて 当事者の活動は、病棟の雰囲気をも変えました。このピアサポートが勢いづいた病棟では、例えば緘黙(かんもく)で食事を...

#リカバリー #こころの病の回復の道 立場を超えた完全に #水平な関係性 を約束された場

  リカバリー全国フォーラム:立場を超えた完全に水平な関係性を約束された場 NPO法人地域精神保健福祉機構・コンボ (以下コンボ) が主催するリカバリー全国フォーラムは、日本の精神保健福祉領域において、当事者、家族、専門家、市民、マスコミなど、全ての参加者の立場を超えた完全に水平な関係性を約束し、それを維持し続けてきた稀有な場です。 1.1 ヒエラルキーからの脱出と場の値価 コンボの創設当時(2007年)はリカバリーという概念は一部の専門家が知っているだけであった中、コンボはこのフォーラムを通じて リカバリーという言葉の概念を当事者、家族、専門家、マスコミ、市民に開放する社会運動のような活動を行ってきました。 このフォーラムの最大の価値は、参加者が普段のおかしなヒエラルキーから脱出する場であるという点にあります。 当事者と専門職の関係においては、診察室や面談室の中ではフラットな関係を築くことは無理だと考えられています。 専門家が「治療者」として、当事者の人生の責任すらも引き受けてしまう管理的な姿勢は、リカバリーを阻害します。 しかし、リカバリー全国フォーラムでは、立場を超えた水平な関係を築ける場として成立してきました。 全国各地から1,200人から1,400人もの人々が会場に密集し、誰がどの立場かなどはまったく誰も考えないリカバリーの躍動の場となったのです。 1.2 参加の動機:「誰かに直接会うこと」 参加者の動機が、フォーラムの水平な関係性を象徴しています。 それは、「誰か」に「直接」会いに行き、立場を超えて「触れ合う」ことです。 この直接接触体験こそが、スティグマ解消の三原則(当事者との直接の接触・科学的に正しい知識の啓発・マスコミやSNSでの情報の是正)の一つであり、また、リカバリーの4原則の一つである参加者の「ものの見方を変化させる」起点となります。 それは、立場を超えて、当事者を含むすべての人に当てはまります。 リカバリー全国フォーラムは、当事者との直接接触によって、目を覚ます専門職が多く見受けられる場でもあります。 当事者同士だけでなく、他の立場の人との水平な関係の出会いによって、「こんなことをしている人もいるのだ」「こんなこともしてもいいのだ」と、多くの人たちが変わり、持ち帰っていくのです。 1.3 当事者中心の企画と自由な発言の場 フォーラム...

#俺は疲れた

 休むしかない あなたも休め 休み方を教えて→  https://forms.gle/zG75PkzCJJi6ns529

#ピアサポート 論

ピアサポート論 序論:リカバリーの覚醒におけるピアサポートの位置づけ 筆者ら精神障害者がリカバリーの道を歩み始めるにあたり、克服すべきは病気の症状ではありません。 むしろ、自分で判断することをやめさせられ、主体性(決定と責任)を放棄してしまった状態からの脱却こそが、リカバリーの核心です。 それはもはやリカバリーなどという趣旨の不明な言葉ではなく率直に精神障害における回復とよんでも良いものです。 世界中の当事者同士で認められているリカバリーの最小限の4原則には、この主体性の回復と並んで「ピアサポート」が挙げられています。 3. ピアサポートとは人を助けることなのだろうか。 ピアサポートとは、仲間や同じような体験をした人たち同士の支え合いを指します。 このピアサポートが、リカバリーの旅において、単なる付加的な支え合いではなく、最も影響を与えるターニングポイントとなることが、筆者ら当事者自身の経験から強く示されています。 筆者が、日米精神障害者交流プログラムにおいて、リカバリーの過程にある当事者から集められた30以上のターニングポイントに関する応募資料を分析した結果、その中で最も多かったのは「人との出会い」でした。 この「人との出会い」こそが、ピアサポートの持つ力であり、当事者が自らの語りを内発的に伝えたいという欲求を呼び覚ます起点となるのです。 リカバリーを可能にするには、孤立を打破し、対等な立場で互いの経験を分かち合い、承認し合う、ピアサポートの機能と規範の確立が不可欠となります。 1. ピアの必要性:孤立からの脱却に薬は全く役に立たず、ピアサポートが決定的に必要である リカバリーの実現を阻む最大の要因の一つは、孤立です。 筆者ら当事者の視点から見ると、この孤立の問題こそが、薬物療法では解決しえない、最も根深い困難であると認識されています。 1.1 精神障害者が直面する最大の難題としての孤立 精神的な困難を抱えてアジアで暮らすということは、家族に守られることで、欧米のようにホームレスにはならないかもしれませんが、社会から孤立する点では一緒です。 孤立こそが私たち精神障害者とその家族にとって、生きていく上で最も困難なことです。 筆者ら当事者が自らリカバリーの道を選ぶには、まずこの孤立した状態から抜け出すことが、決定的に必要です。 孤立から抜け出すことで、当事者は「同じ病...